IPAの座談会

IPAの座談会は、一年に一度しか、大企業の社長と、学生の話し合いをしない。このため、両者が現状認識を一致するには、後10年以上かかるような気がしてならない。
今年は、企業が20年以上永続すると考えている大企業社長と、いやそんなに長く企業は永続するとは思えないとする学生で意見が合わなかったようだ。
10年泥のように働けという前提は、その企業のビジネスモデルが成長していることが前提になる。しかし、今年出席した企業は、そんな成長企業の社長が出ていない。大変残念であった。来年当たりは、外国の企業などを呼んでほしいと思う。
もう一つ気にかかることは、日本の企業の社長は技術を大事にしているかということが大変気になった。キャリアパスとして技術者を大事に思っているなら、プログラマ、エンジニア、プロジェクトマネージャというキャリアパスは、一つのパスであり、もう一方にエンジニアを極めるパスがある。しかし、そのビジネスモデルは成り立っていないということを暗に言っている気がして仕方がない。結局、IT業界は、技術では稼げないと学生に言っているように見えることが心配になった。これは、日本の企業は、技術力をベースとしたビジネスモデルが破綻していることを意味する。結局、技術で身を立てたければ外国に行けと言っているように、聞こえた。
とはいえ、IPAの座談会は、大変良い企画なので、数ヶ月に1度はやってほしいと思う。それで、両者の認識が一致するとIT企業の将来にとってもいい影響が出てくると思う。
たとえば、昨年問題となった文章をしっかり書くという話は、高校もしくはそれ以前の教育課題だし、このような話が教育再生会議で議論されるなら大変意味がある。私の知る限り、教育再生会議で議論しているのは、英語の学習がアジア諸国に比べて遅れている話ぐらいである。そのため、現在の教育の課題が明らかになることは、日本の将来から考えても大変のぞましい。IPAは、経済産業省の下だから文部科学省とは関係ないなどとは言わないでほしい。
http://www.atmarkit.co.jp/news/200805/28/ipa.html
教育再生懇談会(英語)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku_kondan/kaisai/dai3/2s-3gijisidai.html