インテル戦略転換

今更ながら、アンドリューグローブのインテル戦略転換(パラノイドだけが生き残る)(原著は1996年)をよんでみた。
この本は、同氏の経営経験およびスタンフォード大学経営大学院(MBA)での数年に渡る授業経験により書かれた。大学院での数年にわたる授業経験の為か、文章が非常に整理されていて読みやすく、勉強になる。
メモリの開発において、インテルが日本の企業に攻められ、戦略転換をするところなどは、日本と台湾や韓国の企業の競争にも似ている気がしてならなかった。こういう戦略転換点での切り替えの難しさは、日本が戦略転換をせずに、そのまま縮小の憂き目にあっていることからもわかる。とはいえ、シグナルとノイズ比が多い環境で、戦略転換点を見極めるには、より広く深い議論をするしかないと言っている。戦略転換をするのに数年はかかっているのはざらだから、簡単な公式などは無いのだろう。


さて、この本で参考になったのは、

  1. 品質は、自社で決めるのではなく顧客が決める
  2. あの人はいつも一番最後に知る
  3. 6つの力

品質は、自社で決めるのではなく顧客が決めるという話は、サムソンでも見られた話である。しかし、インテルの場合、より高品質な製品を提供するという文脈で語られているのが興味深かった。これは、影響が小さいと判断したペンティアムの計算エラーのビジネスへの影響が、急かつ大規模だったためなのだが。
あの人は、いつも一番最後に知るという話は、営業および技術の現場を離れて管理していると、現場の情報から遠くなるということである。確かに、さもありなんと言う気がしなくもない。むしろ、意識してそれらの現場の情報を取るべきということなのだろう。意識しないと、マスコミが発表した後に、自社情報を知ることになる。
6つの力とは、マイケルポータの競争力を決定する5つの力に、補完企業の力を含めたものである。一企業だけで勝ち抜ける場面は、少なくなりつつあり、このような応援企業を視野に入れる思考が重要なのかも知れない。

インテル戦略転換

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