技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか

今頃、とろとろと読んで読了。この本はなかなか良い本であった。一言で言うと、技術力だけが勝負になる時代は終わり、ビジネスモデルとセットの三本技[事業開発戦略、研究開発戦略、地財戦略]で一本になる時代が到来しているということになるのであろうか?
すりあわせを得意とする旧来の日本のモデルでは、勝てる領域は狭く、現在では、カメラと車ぐらいになってしまった。しかし一方、組み合わせを中心とする欧米のモデルが、闊歩している。この例としては、CPUのインテルを基幹としたPCや、アップルのiPodを基幹とした製品群などが上げられる。そして、このモデルでは、全世界のいろんな技術を用途に合わせて使い分けて、製品の低コストかつ早い普及を可能にしている。一方で、基幹部品のメーカーは高い収益率を確保している。そして現在は、残ったカメラや車の領域も安泰ではなく、デジタル化が進むと電気自動車などになり、組み合わせ製品になってしまうという警告の書でもある。
そして、IBMのパルミザーノ会長の言うとおり、ルールを変えたものが勝つ(I believe we will see new leaders emerge who win not by surviving the storm, but by changing the game.)というのは、現代をいい得ていると合点した。現代は、ビジネスモデルから作っていかないといけないと改めて感じた。その意味では、一兵卒ががんばれば何とかなる時代は終わり、軍師がそれなりの作戦を描けなければ、総負けする時代に入ったといえる。

IBM パルミザーノ会長のコメント原文はこちら
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